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山根 剛; 山下 清信; 藤本 望
New approaches to the nuclear fuel cycles and related disposal schemes, 1, p.267 - 277, 1998/00
兵器級のプルトニウムを高温ガス炉で燃やす際の炉心核特性等について概括し、これまで報告されているシステムの設計研究例のレビューをもとに、炉物理的な観点での現状と今後の課題についてまとめた。特に重要な課題として、Pu装荷炉心では反応度温度係数が正になる可能性の問題を取り上げ、その原因と核設計上の対処方法について解説した。またPuの処理効率については、リサイクルなしのワンス・スルーサイクルで、初期装荷兵器級Pu量に対してPu-239で90%以上を消滅できることが報告されている。これは高温ガス炉の炉心が中性子経済に優れ、高性能の被覆粒子燃料を用いているため、高燃焼度の達成が可能であることに起因している。今後の課題として、Pu燃料を用いた積分実験は炉物理計算法及びデータの検証にとって有益であり、可能ならば高温領域、高燃焼度模擬条件下での温度依存の炉心パラメータの測定が望まれる。
山下 清信; 徳原 実*; 藤本 望
Nuclear Science and Engineering, 126(1), p.94 - 100, 1997/05
被引用回数:2 パーセンタイル:23.01(Nuclear Science & Technology)本報は、兵器級Puを再利用できない程度まで燃え尽くすために考案した原子炉システムについて報告するものである。このシステムは、Pu燃焼用燃料球(Pu球)と増殖用燃料球(Th球)を用いたペブルベッド型高温ガス炉である。Pu球は兵器級Puを装荷した燃料からなり、Th球はTh燃料からなる。これらの二つの型の燃料球を炉心内に混在させて装荷し、連続的に燃料交換する。Pu球の燃焼度は、約740GWd/Tまで達成可能であり、残留するPuは初期装荷量の1%以下まで消滅することができる。また、Pu球のPu装荷量を増すことによりキセノンの吸収効果を低減し温度上昇による吸収反応の減少率を押さえて、出力係数を負に保つ工夫をし、正の反応度の問題を解決した。この結果から、著者らは、本システムが、有望な兵器級Puの消滅炉の1つであると考える。
徳原 一実*; 山下 清信; 新藤 隆一; 藤本 望
JAERI-Tech 96-025, 50 Pages, 1996/06
ペブルベッド型高温ガス炉に兵器級Puを装荷した場合、温度係数が正になるという問題があった。そこで、温度係数を負にする方法を、兵器級Puを劣化U等の親物質と混合せずに、全炉心に兵器級Puの燃料のみを装荷する炉心を対象として検討した。検討の結果、熱領域に共鳴捕獲反応を持つ核種(Er)を炉心に添加すれば、温度係数が負になることを確認した。また、この場合には燃料球の燃焼度が低下するが、Erを添加せずとも、Puの装荷量を増大して熱中性子束のピークを小さくすれば、燃焼度の低下なしに温度係数を負にできることを明らかにした。燃焼度の増大とともに熱中性子束のピークが再び大きくなる可能性があるが、ペブルベッド型炉では燃料球の最大燃焼度の1/2程度で原子炉が平衡状態になるため、初期の装荷量が多い限り熱中性子束のピークが再び大きくなることはない。